無料のKritaで日本語の漫画を描いている方、とくに月に10ページ以上のペースで制作している方に聞きたいのですが、セリフを縦書きで流し込むとき、こんな手直しに時間を取られていないでしょうか。
行の折り返しの都合で、句読点や閉じ括弧が行の一番上に来てしまう。見つけるたびに、1文字前に戻して改行位置を直す。日付や年齢のような数字を、横向きのまま1マスに収める「縦中横」にしたいのに、毎回手でサイズと位置を合わせる。ルビ(ふりがな)を振りたいときは、親文字の上にもう1つ小さい文字のレイヤーを重ねて、座標を目分量でずらしていく。
1ページに数回なら気にならないかもしれません。でも、これがページ数だけ積み重なると、地味に時間を食う作業になります。
セリフの原稿を、ふきだしごとに空行で区切ったテキストファイルとして書きます。それをこの道具に渡すと、次の3つをまとめて自動計算して、Kritaに読み込めるSVG(ベクター画像)として出力します。
句読点や閉じ括弧が行の先頭に来ないようにする「禁則処理」。 行を折り返した結果、行頭に読点や閉じ括弧、小さい「っ」「ゃ」などが来てしまう場合は、自動で直前の行へ送ります。逆に、開き括弧が行の末尾に来てしまう場合は、次の行の先頭へ送ります。1回直した結果もう一箇所おかしくなる、という連鎖が起きても、おかしなところが無くなるまで自動で調整し続けます。
数字を横向きのまま埋め込む「縦中横」。 「12月」「25度」のように数字が2桁までなら、自動で縦中横として1マスに収めます。原稿に 12月 と数字のまま書くだけで判定してくれるので、狙って書く必要はありません。1マスに収まりきらないと判断した場合は、文字を少し小さくして収めます。
ルビ(ふりがな)の位置計算。 明日《あした》 のように書くだけで、直前の漢字を自動的に親文字と認識してルビを振ります。「東京都」のうち「東京」だけにルビを振りたいときのような細かい指定も、|東京《とうきょう》都 という書き方でできます。ルビが親文字より長い読みの場合(例えば漢字1文字に対してひらがな4文字など)は、文字をつぶさずに親文字の中心を基準にして自然にはみ出させます。
パソコンにPythonが入っていれば使えます。原稿はテキストファイルに、ふきだしごとに空行を挟んで書くだけです。
おはよう。
今日はいい天気だ|東京《とうきょう》では珍しい。
「本当に、そうかな」
12月なのに25度もあるらしいよ。
このファイルをこの道具に渡すと、001.svg、002.svg のように、ふきだしの数だけSVGファイルができます。あとはそのSVGファイルをKritaで開き、中身を全部選択してコピーし、清書中の原稿ファイルに貼り付けるだけです。貼り付けたセリフは、文字ごとに位置を微調整できるベクターデータのままなので、あとから吹き出しの大きさに合わせて動かすこともできます。
1行あたりの文字数、文字の大きさ、ルビの大きさなどは、実行するときの設定で変えられます。
無料版は、禁則処理・縦中横・ルビ配置のすべてを、制限なくフル機能でお使いいただけます。隠している機能はありません。制限があるのは、1回の実行で処理できるふきだしの数だけで、5個までです。
6個以上のふきだしを含む原稿を渡すと、超過している数を表示して、1個も書き出さずに停止します。1ページ分・2ページ分と、5個ずつに分けて実行すれば、10ページ級の原稿でも、無料版だけで組版の出来を最後まで確認できます。
無料の手段は実在し、しかも普段使いには十分なことが多いです。名指しで比較します。
まず、Krita本体そのものが最大の比較対象です。 Kritaのテキストツールは横書きの入力を前提にしていて、日本語の禁則処理や縦中横、ルビを自動で計算する機能は持っていません。縦書きにしたい場合、これまで通り、1文字ずつ改行を入れて手で流し込み、句読点の位置を目で確認し、数字を回転させ、ルビ用の別レイヤーを重ねて位置を合わせる、という作業になります。この製品は、その一連の手作業を自動化したものです。
Inkscapeも無料で使える高機能なベクター編集ソフトですが、Kritaと同じく、日本語組版の禁則処理・縦中横・ルビを自動計算する専用の機能は持っていません。SVGの「縦書き」指定を手動で設定すれば見た目としては縦書きにできますが、句読点の位置調整やルビの配置は、結局利用者が1文字ずつ手で動かす必要があります。
ブラウザで縦書きを表示するためのCSS指定(writing-mode: vertical-rl など) を使えば、ブラウザの中でなら禁則処理や縦中横をブラウザ自身が自動でやってくれます。ただし、これはブラウザの中だけで完結する話です。その表示結果をKritaに持ち込みたい場合、結局は画面をスクリーンショットで撮って画像として貼り付けるしかなく、拡大すると粗くなりますし、あとから文字だけを動かすこともできません。この製品は、ベクターのまま、文字単位で編集できる形でKritaへ戻す部分を担っています。
CLIP STUDIO ASSETSで配布されている無料の「吹き出しツール集」(60,317ダウンロード) は、吹き出しの形そのもの(枠線や尻尾のパーツ)を提供する素材集で、文字の禁則処理・縦中横・ルビを計算する機能ではありません。また、CLIP STUDIO PAINT専用の素材のため、Kritaでは使えません。この製品はその逆で、吹き出しの形は一切作らず、文字組版だけを、どのソフトにも持っていける標準的な形式(SVG)で提供します。吹き出しの形はそうした素材やご自身の作画で用意していただき、文字組版だけをこの製品に任せる、という組み合わせを想定しています。
正直に書くと、月に1〜2ページ程度の制作ペースであれば、Krita本体での手作業でも十分間に合うと思います。この製品が向いているのは、月10ページ以上のペースで縦書きのセリフを大量に組む必要があり、句読点の位置直し・縦中横の調整・ルビの位置合わせという反復作業に時間を取られている方です。
以下に当てはまる方には向きません。
この製品が扱うのは文字の組版だけで、吹き出しの形や絵柄は一切作りません。 対応する禁則処理も、句読点・閉じ括弧・捨て仮名・長音符・開き括弧といった、実務でよく使う範囲にとどめています。日本語組版の規格が定めるすべての細則(句読点を行の外へはみ出させる、といった高度な調整)には対応していません。
ルビは、親文字とひらがなを1対1で対応させる方式ではなく、親文字列全体に均等に配置する方式のみです。半角のアルファベットが連続する場合、自動では縦中横になりません(明示的に指定する書き方は用意しています)。
開発と動作確認はLinux環境(WSL2)で行っており、Windows・macOSでも標準ライブラリだけで動く作りにしていますが、作者の手元での実機確認はできていません。また、この開発環境にはKrita本体がインストールされておらず、実際にKritaへ読み込んだときの見た目を作者自身が確認できていません。 SVGの読み込み手順はKrita公式マニュアルの記載に基づいていますが、お使いの環境で実際に開いて、最終的な見た目は必ずご自身で確認してください。
単品買い切り14,940円で、BOOTHで販売されています。月額・従量課金・ライセンスキー・オンライン認証はありません。デジタルデータの性質上、ダウンロード後の返品・返金は受けられませんが、無料版で禁則処理・縦中横・ルビ配置のすべてを、機能を隠さず試せます。
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